車検証の所有者欄で、自分の車が「売れる車」かを判定する
基礎知識

車検証の所有者欄で、自分の車が「売れる車」かを判定する

執筆: 金融車編集部 運営事務局

「ローンが残っている車は売れない」と聞いたことがあるかもしれません。しかし実際には、売れる車と、売る前にひと手間かかる車があるだけです。そしてその区別は、車検証のたった1つの欄を見れば、その場で判定できます。査定を申し込む前の5分で終わる作業です。

見るのは「所有者の氏名又は名称」の欄

車検証には「所有者」と「使用者」という2つの欄があります。売却の可否を決めるのは所有者の欄です。ここに誰の名前が入っているかで、手続きの内容がまるごと変わります。

使用者はあくまで「その車を日常的に使っている人」で、駐車場の確保や車庫証明の名義に関わります。売却の権限とは直接関係しません。ここを取り違えたまま「自分の名前が載っているから大丈夫」と判断してしまう例が少なくありません。

2023年1月以降に交付された車検証は、券面に所有者が載っていない

手元の車検証がA6サイズ(カードよりひと回り大きい程度)で、ICタグが埋め込まれているものであれば、それは電子車検証です。2023年1月4日から順次交付されています。

電子車検証の券面には、所有者の氏名・住所が印字されていません。有効期間や使用者の住所も同様です。これらはICタグの中に格納されており、国土交通省が提供する「車検証閲覧アプリ」で読み取る必要があります。

確認の手順は次のとおりです。

  1. スマートフォンに「車検証閲覧アプリ」をインストールする
  2. アプリを起動し、券面に印字された4桁のセキュリティコードを入力する
  3. スマートフォンをICタグ部分にかざして読み取る
  4. 表示された情報の中から「所有者の氏名又は名称」を確認する

NFC読み取りに対応したスマートフォンが必要です。対応していない場合は、パソコンと汎用のICカードリーダでも読み取れます。

「券面に所有者の名前がないから、自分の車ではないのでは」と不安になる方がいますが、そうではありません。単に記載場所が変わっただけです。

パターン別・所有者欄の読み方

パターンA|自分の名前が入っている

現金で購入した、あるいはローンをすでに完済して所有権解除の手続きまで終えている状態です。この場合、通常の中古車と同じ扱いで売却できます。追加の書類も、ローン会社とのやり取りも発生しません。

ただし、ローンを完済していても所有権解除の手続きをしていなければ、所有者欄は信販会社のままです。完済した記憶があるのに他社名が入っている場合は、パターンBとして進めてください。

パターンB|信販会社・クレジット会社の名前が入っている

オリコ、ジャックス、アプラス、セディナ、トヨタファイナンスなどの名称が入っているケースです。これが所有権留保と呼ばれる状態で、当編集部が扱う「ローン残債車」の中心にあたります。

この状態でも売却は可能です。ただし順序が決まっています。売却代金でローンを完済し、信販会社から所有権解除の書類を受け取り、そのうえで名義を移す、という流れになります。詳しくは所有権留保とは何かで解説しています。

パターンC|ディーラー名・販売店名が入っている

販売店が自社でローンを組んでいる場合や、残価設定型のクレジットを利用している場合に見られます。手続きの流れはパターンBに近いのですが、契約の性質が異なる可能性があります。

特に残価設定型クレジット(残クレ)の場合、契約上は「一定期間後に返却する」ことが前提になっており、法的な性質がリースに近いものがあります。この場合、第三者への売却が契約で制限されていることがあります。契約書の確認が先です。

パターンD|リース会社の名前が入っている

カーリースやマイカーリースの車両です。これは所有権留保とは別の契約で、車はリース会社の資産です。利用者が第三者へ売却することはできません。中途解約の条件をリース会社に確認するのが唯一の道になります。

判定結果のまとめ

所有者欄の記載状態売却
自分の名前完済済み・現金購入通常どおり可能
信販会社所有権留保残債精算を伴えば可能
ディーラー・販売店自社ローンまたは残価設定型契約内容の確認が必要
リース会社リース契約売却不可・中途解約の相談へ

判定できたら、次にやること

パターンBまたはCだった場合、次に必要なのは残債額の確認です。いま残りいくらなのかが分からなければ、買取額との差額も、手元に残る金額も計算できません。

残債額はローン会社に電話1本で確認できます。手順はローン会社への残債照会のやり方にまとめています。

残債額と買取相場が出そろった時点で、状況は2つに分かれます。買取額が残債を上回るなら差額が手元に残ります。下回る場合は残債が買取額を上回るときの対応が必要になります。

よくある質問

車検証を紛失した場合はどうすればよいですか

使用者の住所を管轄する運輸支局で再交付を受けられます。所有者が信販会社の場合、再交付には所有者の委任状が必要になることがあるため、まずローン会社へ連絡してください。

所有者が信販会社のまま、車を廃車にすることはできますか

できません。廃車も名義変更と同様に所有者の権限が必要な手続きです。残債が残っている状態では、まずローン会社との精算が先になります。

ローン会社に知られずに売却する方法はありますか

ありません。所有者が信販会社である以上、名義を動かすには信販会社の書類が必ず必要です。「連絡なしで完結する」とうたう業者があれば、その時点で手続きの説明として成立していません。正規の売却は、必ずローン会社への連絡と残債の精算を経由します。

使用者欄が家族の名前になっています

使用者と所有者が異なるのはよくある形です。売却の可否は所有者欄で決まりますが、実際の手続きでは使用者本人の書類(印鑑証明書など)が求められる場合があります。

まとめ

車検証の所有者欄を見る。それだけで、自分の車がどのルートで売れるのかが決まります。判定に費用も時間もかかりません。

そして、どのパターンであっても「所有者欄が他人名義だから売れない」ということはありません。手順が違うだけです。順序を守れる業者を選ぶことが、結果的にいちばん早く、いちばん損の少ない売却につながります。

業者を選ぶ際の確認事項は買取業者の見極め方に、必要書類の全体像は3点書類とはにまとめています。

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