
3点書類とは(譲渡証明書・委任状・印鑑証明書)
車の名義を変えるには書類が要ります。その中心にあるのが譲渡証明書・委任状・印鑑証明書の3点です。実務では3点書類と呼ばれます。ローン残債がある車の売却では、この3点を誰が用意するのかが通常の売買と異なります。ここを理解しておくと、業者の説明が正しいかどうかを自分で判断できるようになります。
3点書類とは何か
| 書類 | 役割 | 用意する人 |
|---|---|---|
| 譲渡証明書 | 所有権を譲り渡した事実を証明する | 現在の所有者 |
| 委任状 | 登録手続きを他者に任せる意思を示す | 現在の所有者・新所有者 |
| 印鑑証明書 | 押された実印が本人のものだと証明する | 現在の所有者・新所有者 |
3点がセットで扱われるのは、それぞれ単独では意味をなさないからです。譲渡証明書に押された印鑑が本物かどうかは印鑑証明書で裏づけられ、本人が窓口に行かなくてよいことは委任状で示されます。
ローン残債車では「所有者」が自分ではない
ここが最大のポイントです。所有権留保がついている車の所有者は信販会社やディーラーです。したがって、譲渡証明書・委任状・印鑑証明書を出すのは信販会社であって、あなたではありません。
あなたは車検証上の「使用者」です。使用者としての書類(住民票や印鑑証明書など)が別途求められる場合はありますが、所有権を譲り渡す側の書類はローン会社から出ます。
そしてローン会社が書類を出すのは、残債が完済されたあとです。この順序は動きません。
実際の流れ
- 買取業者が査定額を提示する
- 売却が決まり、業者がローン会社へ完済金を支払う
- ローン会社が所有権解除の書類(3点書類)を発行する
- その書類を使って運輸支局で名義変更を行う
- 残債を差し引いた差額が精算される
2から3にかかる期間はローン会社によって幅があります。数日で出るところもあれば、2週間程度かかるところもあります。この期間を事前に説明できる業者は、その会社との取引に慣れていると考えられます。
書類それぞれの中身
譲渡証明書
車を譲り渡したことを示す書類です。車台番号、車名、型式、譲渡人と譲受人の氏名・住所を記載し、譲渡人が実印を押します。
用紙は運輸支局の窓口や国土交通省のウェブサイトで入手できます。訂正には訂正印が必要で、修正液の使用は認められません。書き損じた場合は新しい用紙に書き直すのが確実です。
委任状
登録手続きを代理人に任せるための書類です。実務では、買取業者や行政書士が手続きを代行するために使われます。
こちらも実印での押印が必要です。委任する内容(移転登録、変更登録など)が明記されているかを確認してください。白紙の委任状に押印を求められた場合は、その場で用途を確認すべきです。後から任意の内容を書き込める状態になります。
印鑑証明書
実印が市区町村に登録されたものであることを証明します。個人の場合は住民登録のある市区町村役場、法人の場合は法務局で取得します。
発行から3か月以内のものが求められます。手続きに時間がかかると期限切れになることがあるため、取得のタイミングには注意してください。売却の話が具体化してから取るのが無難です。
コンビニ交付に対応している自治体であれば、マイナンバーカードで取得できます。
3点書類以外に必要になるもの
実際の手続きでは、次の書類も併せて求められます。
- 自動車検査証(車検証)
- 自動車税納税証明書
- 自賠責保険証明書
- リサイクル券
- 車庫証明(新所有者の保管場所を証明するもの)
軽自動車の場合は手続きが異なり、印鑑証明書や譲渡証明書が不要で、申請依頼書という別の書類を使います。普通車と同じ説明をされた場合は、業者の理解を確認したほうがよいでしょう。
業者を見極める判断材料になる
3点書類の話は、業者の実務能力を測るのに使えます。査定を受ける際に、次のように聞いてみてください。
所有権解除の書類は、どこから、いつごろ出る想定ですか。その間、車と代金はどういう扱いになりますか。
この質問に対して、ローン会社名を確認したうえで期間の目安を答えられる業者は、その手続きを日常的に扱っています。一方、「こちらで全部やるので大丈夫です」としか返ってこない場合、工程を把握していない可能性があります。
また、書類が揃う前に車だけ引き渡すよう求められた場合は、その理由と、その間の責任の所在を書面で確認してください。名義が移らないまま車が手元を離れると、税金や事故の責任が使用者に残り続けます。
よくある質問
印鑑証明書は何通必要ですか
手続きの内容によって変わります。移転登録と車庫証明で別々に必要になる場合があるため、業者に必要枚数を確認してから取得してください。
実印を持っていません
市区町村役場で印鑑登録を行えば、その日のうちに印鑑証明書を取得できる自治体が多くあります。認印では手続きできません。
ローンを完済済みですが、書類を紛失しました
信販会社に再発行を依頼します。契約番号や車台番号が分かるとやり取りが早くなります。会社が合併している場合は、承継先へ問い合わせることになります。
まとめ
3点書類は、名義変更を成立させるための正規の書類です。特別なものではありません。
ローン残債がある車では、この3点を出すのが自分ではなくローン会社である、という一点だけが違います。そして、それが出るのは完済後です。この順序を理解していれば、「先に車を渡してください」「書類は後から何とかします」といった説明が、なぜ順序として成立していないのかが分かります。
手続き全体の流れはローンが残っている車は売れるのかに、所有権留保の仕組みは所有権留保とは何かにまとめています。
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