
残価設定ローン中の車を売るには
残価設定型クレジット、いわゆる残クレで購入した車を、契約期間の途中で手放したい。この相談は年々増えています。結論から書くと、売却できるかどうかは契約内容によって変わります。一律に「売れる」とも「売れない」とも言えません。なぜ一律に言えないのか、何を確認すれば自分の場合が分かるのかを整理します。
残クレは通常のローンと構造が違う
通常の自動車ローンは、車両価格の全額を分割で支払い、完済すれば車は自分のものになります。
残価設定型は違います。契約時に「◯年後にこの車はいくらの価値があるか」という残価をあらかじめ設定し、その残価を差し引いた分だけを期間中に支払います。月々の負担が軽くなるのはこのためです。
そして契約満了時に、次の3つから選ぶ形になります。
- 車を返却する
- 残価を支払って買い取る
- 残価分を再度クレジットで支払い、乗り続ける
ここで重要なのは、返却が選択肢に含まれているという点です。返却を前提にできるということは、その車は最後までディーラー側の資産として設計されている、ということでもあります。
法的な性質がリースに近い場合がある
車検証を見ると、所有者欄はディーラーや販売会社の名前になっています。ここまでは所有権留保と同じに見えます。
しかし契約の中身を見ると、残価設定型は「一定期間の使用後に返却すること」を前提に組み立てられており、法的にはリース契約に近い性質を持つ場合があります。
リースであれば、車は貸主の資産です。借りている側が第三者へ売り渡すことはできません。この点で、所有権留保つきのローン車とは扱いが変わってきます。
「残クレでも買い取れます」と契約書を見る前に即答する業者には、その根拠を確認してください。契約の内容を見ずに可否を判断することはできないはずです。
契約書のどこを見るか
手元の契約書、または申込時の約款で、次の項目を探してください。多くの場合、契約書の後半にまとめて記載されています。
| 確認項目 | 何が分かるか |
|---|---|
| 譲渡・転貸の禁止条項 | 第三者へ渡すことが制限されているか |
| 中途解約の可否と条件 | 期間途中で終わらせられるか、その場合の負担 |
| 残価の精算方法 | 返却時に追加負担が生じる条件 |
| 走行距離の上限 | 超過時の精算額 |
| 原状回復の基準 | 傷・へこみの査定基準 |
この5点が読み取れれば、自分の契約がどちらに近いかは判断できます。契約書が見当たらない場合は、契約先の会社に再発行を依頼してください。
途中で手放したくなる典型的な理由
走行距離の上限に届きそう
残価設定型には走行距離の上限が設けられているのが一般的です。上限を超えると、返却時に超過分の精算を求められます。
通勤経路が変わった、転勤したといった事情で想定より走ってしまう場合、契約満了まで乗り続けるほど精算額が膨らみます。早い段階で相談したほうが負担が小さくなるケースがあります。
傷やへこみができてしまった
返却時には原状回復の基準に照らして査定されます。修復歴が残るような損傷がある場合、返却時の精算が大きくなることがあります。
生活の変化で車が必要なくなった
転職、転居、家族構成の変化など。この場合、乗らない車の支払いだけが続くことになります。
支払いが負担になってきた
月々の負担を抑える設計であるがゆえに、収入が変わったときの影響が出やすい面があります。
相談の進め方
順序を守ることで、無駄な動きを減らせます。
- 契約書を手元に用意する(これがないと何も判断できません)
- 契約先に現在の精算額を照会する(残価を含めて今いくらか)
- 車の買取相場を調べる(複数の査定を取る)
- 2と3の差額を確認する
- そのうえで、返却・買取・第三者への売却のどれが有利か比較する
2の照会方法はローン会社への残債照会のやり方にまとめています。差額がマイナスになる場合の対応は残債が買取額を上回るときを参照してください。
気をつけたい説明
契約書を見ずに金額だけ提示される
残価設定型は契約ごとに条件が異なります。車種と年式だけで可否を判断できる仕組みではありません。
「返却より高く売れる」とだけ言われる
比較すべきは、返却した場合の最終的な負担と、売却した場合の最終的な手取りです。査定額だけを並べても比較になりません。
ディーラーに連絡せずに進められると言われる
所有者はディーラー側です。名義を動かす以上、所有者の書類が必要になります。連絡を経由しない手続きは存在しません。
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